京都デニムと栃木レザー。 伝統ある国産ブランドが生み出したオリジナル雑貨。

 

京都デニムが開発した、革とデニムを組み合わせたオリジナル商品、「デニムと革のカードケース」。日本の伝統を現代のかたちで表現したこのアイテムはどのようにして作られたのでしょうか。

 

京都×岡山 新しい伝統のかたち「京都デニム」。

デニムの聖地である岡山で縫製され、伝統工芸の聖地である京都で染められるジーンズは芸術とも呼べるほどの繊細で細やかな技術で製造されています。着物を染色する日本の伝統技術を用いて、デニムを染めていくという手法は古きよき最先端です。

レザーの最高峰を生み出す、「栃木レザー」。

革とデニムを組み合わせた商品開発は京都デニム初の試みです。
使われている革は世界的に有名な栃木レザーを使用しています。

「栃木レザー」は栃木県に本社を構える、昭和1937年創業の皮革製造メーカーです。
植物性タンニンなめしを専門にレザーを製造し、天然の植物由来のタンニン槽の中でなめされた栃木レザーは日本一の最高品質を誇ります。

ヌメ革ならではの革らしさ、風合い。

栃木レザー

今回開発されたカードケースには、ヌメ革が使用されています。
ヌメ革とは、タンニンなめしを施しただけの、染色・塗装がされていない革のことを指します。
カードケースも、ほとんど染色はされておらず、革そのものの風合いと味わいが魅力です。

ヌメ革は線維がキュッと締まっているので、たいへん頑丈な革です。使い始めは少し固い感じがしますが、使い込んでゆくと徐々に柔らかくなり、馴染んでいきます。

長年ヌメ革のアイテムを使っていると、牛が元々持っていたシワやキズ、血管、毛穴などの痕跡がそのまま自然の刻印として現れてきます。このように、使いこむほどに味わいを増していくので、革を身につける、使う、というよりは、革を育てていく感覚に近いのかもしれません。

革からオリジナル雑貨に変わるまで。

今回使われている革は、北米の5歳児の牛の皮から作られています。繊維が荒く、丈夫で厚いのが特徴です。牛皮は栃木レザーでタンニンなめしという手法で、皮を革へと変えていきます。タンニンなめしのレザーは何といっても経年による変色、変化が大きいということです。

近年では、天然の動物の傷やシワなどを「革の味」とし、使い続けることで、変化を楽しめるという消費者が増えてきました。それによりタンニンなめしのレザーの需要が高まっています。

今回は動物の皮が革に変えられ、その後、商品としてのものが作り上げられていく過程を取材させていただきました。


 製造過程

①裁断

栃木レザー
革の部位によって伸び縮みが異なるので、見極めながら最適な位置を決め、革を裁断していきます。革切り専用の包丁を使って、慎重にカットしていきます。

パーツの型抜きなどはハンドクリッカーという機械で行います。

ひも状に裁断する際には、ニッピーという機械を使います。
ペンケースのボタンを留めるひもの部分はニッピーを使って裁断されています。

栃木レザー

②革漉き(かわすき)

栃木レザー

革が何枚も重なる部分や、カーブ部分、折り曲げる部分などは皮が厚くなり過ぎないよう、革を薄く漉いていきます。

③仮組み

パーツを組んでいきます。
ここで綺麗に揃っていないと仕上がりに影響してしまいます。

④縫製

栃木レザー

皮革用工業ミシンで縫い合わせていきます。

筒縫いや曲線縫いは腕ミシンで縫製を行っています。
今回のペンケースも、曲線縫いであるため、腕ミシンを使用します。

ミシンでは縫えない箇所や補強が必要な場合は手縫いで仕上げていきます。

⑤コバ仕上げ

コバとは、革製品の端っこ、切れ端・切り口の部分のことです。

革の裁断面をカンナなどで整えた後、バフという機械をつかって全ての部品のコバを磨いていきます。コバが2枚重なっている部分はコバ磨きによって2枚が1枚に見えるくらいになるまでに磨くと美しいのだそうです。

⑥最後に、ひとつひとつ手作業によってボタンやひもがつくられて完成します。

栃木レザー

今回紹介させていただいたペンケースとカードケースは、伝統的な手法で作られた、デニムと革を融合させるという斬新なアイデア。

それぞれの素材や技術の伝統を組みあわせて新しいものを作り出していくという点で、”デニムと革”の今後への新しい可能性を感じました。