京都デニムであるべきこと

しずくデニムバッグ スモール (一点もの)

京都の伝統的技法と歴史の継承

京都の着物は染め・手描きの染料を使った柄付に始まり、多くの精巧な伝統工芸を使用して制作されます。この長い歴史で培った伝統的技法を後世に伝えていく事も、京都デニムの目標のひとつです。

京都デニムは、現代のライフスタイルの中でもう一度京都の伝統を見直してもらうために、『デニム』という身近なテキスタイルで伝統工芸の技術を継承しようという試みから生まれました。京都デニムでは、デニム生地に対し、型紙の製作・型引き・友禅染めなど、多くの着物の伝統的技法を使用して製作しています。それに加えて、ジーンズへ入れる模様もただの柄ではなく伝統的図案をパターンとして仕立てる事で、伝統の継承を図っています。

着物とは

着物とはその名の通り「着る物」です。時代により形が変わっても、技法が正確に使用されていれば、伝統は継承されていきます。京都デニムは単なるデニムブランドではなく、未来の京都で伝統技法を受け継ぐ人々に、着物の染織技法や友禅染の素晴らしさを伝える為の活動をしています。

京都の『友禅』とはその染織技法に対する名称ですが、近年ではその柄を見て友禅と呼ぶ人も多くなっています。友禅は正式には友禅染めといい、水と細かな粒子で構成された染料で絵を描き出す技法の事を指します。その染料が綿や絹の芯に浸透して発色することで、奥行きのある色を染め出し、また光の当たり方などでも、風合いが様々に変化します。重ねた歳月によって自分の色になる、1000年以上受け継がれてきた素晴らしい技法です。

プリントではなく手染め

現代のトレンドとして、日本の伝統的な柄をあしらった商品を見る機会が多くなりました。それにより沢山の人に、自国の伝統に対する見識が広がっていくのは私たちも非常に喜ばしいことです。一方で残念な事は、殆どがデザインの簡略化に伴いプリントで生地に柄が載せられていることです。

京都デニムは、大量生産にもスピード生産にも対応出来ません。そのかわり、京都の手仕事や着物の染色技術など、伝統に裏付けされた技法で、一点ずつを丹念に製作しており本物の「モノ」の良さを追求し続けています。何千年もの間、日本の伝統的衣装である着物。その制作に見出される手仕事の技術と芸術の追求。売る為のモノ作りではなく、使用者の満足を主としたモノ作り。京都デニムでは、それらの継承を担っていきます。着物はそのモノや形の事だけでは無く、使用される技術も併せて「着物」と呼ぶべき存在なのです。新しい着物の認識を、京都デニムのモノ作りで広く正しく伝えられる事を祈って。

京都デニムの産業への道

将来、京都デニムが京都の産業になれば、日本だけでなく世界的な認知度を得る事が出来、それにより職人の技術継承・雇用の創出・後継者の育成など、今の伝統工芸界が持つ課題の解決に繋がります。京都という土地が培ってきた日本の伝統的な風合、奥ゆかしさをもつ色や柄の魅力をもう一度再確認し、それらを新しいステージで日の目を当てる事を目標としています。その為のアイテムとしてこの「京都デニム」を作りました。着物を含む多くの伝統工芸を「芸術」という枠の中に括ってしまうのではなく、生活の中 でより身近にそれらを感じられる日本を目指す事を、京都より提唱していきたいです。

柄だけではなく日本の空間美

先述の通り、現代のライフスタイルに伝統工芸を組み込むべく、京都デニムでは主にジーンズを作成しています。しかしながら、桑山が作る京都デニムは、柄と技術のみで完結する訳ではなく、生地の制作に始まり、パターン・シルエットなど、ジーンズの造形自体をゼロから改めて組み立てる事で作り上げています。そしてなにより京都デニムのデザインの特徴は平面的な柄のデザインではなく、立体的な日本の空間美に沿って制作されているのです。多くの人に長く愛されて使用される「モノ作り」は、それらの細やかなディテールの重ね合わせで成り立っています。近年忘れられがちな、日本古来の感性も伝統工芸の要素の一つであると言うことです。