「京の台所」とも呼ばれる錦市場商店街で、江戸中期に活躍した絵師・伊藤若冲の作品を、夜のシャッターに描いてライトアップするという面白いアイデアの展示「ナイトミュージアム」が行われています。
伊藤若冲は錦市場の青物問屋生まれ
(菜蟲譜 佐野市立吉澤記念美術館蔵)
今回のナイトミュージアムは、もともと錦市場の青物問屋に生まれた伊藤若冲の生誕300年記念として行われています。
有名な『野菜涅槃図』など、若冲の絵に茄子や大根、カボチャ、桃、蜜柑などの野菜や果物が描かれているのも、若冲が青物問屋を生家とすることに由来しているからです。
実際に行ってみました
錦市場は京都のど真ん中、四条烏丸と四条河原町の間にあります。昼間は観光客で溢れかえっていますが夜はお店のシャッターが閉まり、割と静か。今回は約50店舗のシャッターに若冲らの作品を描くという、非常にユニークな展示になっていました。
生家跡の看板が掲げられています。
展示はこんな感じ。
筆者は土曜日の夜に行きましたが、それほど混んでいなかったので、ゆっくり観ることができました。
樹花鳥獣図屏風(左隻) 静岡県立美術館蔵
樹花鳥獣図屏風(右隻) 静岡県立美術館蔵
伊藤若冲の代表作として有名な「樹花鳥獣図屏風」。実物は静岡県立美術館に所蔵されているんですね。なかなかこの大きさでじっくり見ることができないので、シャッターとはいえ、細かいところまで観ることができました。
8万6千個の枡目に色を埋めて描いた升目描きの技法もよくわかります。
鳥獣花木図屏風
石燈籠図屏風 京都国立博物館蔵
群鶏図障壁画 京都国立博物館蔵
20時~と21時~は若冲の作品などをプロジェクターに投影したムービーが流れます。和楽器の音楽も流れて商店街一体がその名のとおり「ナイトミュージアム」の雰囲気が漂っていました。
※ムービー上映中は、シャッターに描かれた作品を照らすライトが落ちるため、よく見えなくなります。
伊藤若冲 生誕300年記念のイベント・展示会情報
2016年は伊藤若冲生誕300年記念ということで、今回の錦市場のナイトミュージアム以外にもイベントが目白押しです。(※情報は2016年10月18日時点のもの)
- 相国寺承天閣美術館 生誕300年記念『伊藤若冲展』 2016年7月1日(金)~年12月4日(日)
- 岡田美術館(箱根) ―生誕300年を祝う― 若冲と蕪村 江戸時代の画家たち 2016年9月5日(月)~12月18日(日)
- 京都市美術館 「若冲の京都 KYOTOの若冲」 2016年10月4日(火)~12月4日(日)
- 京都国立博物館 「 特集陳列 生誕300年 伊藤若冲」 2016年12月13日 ~ 2017年1月15日