【京仏具職人のホンネ】「それが現実」ではなく「それがプロ仕事」だと思うんです

【京仏具職人のお話】少ないお給料でも「それが現実」ではなく「それがプロ仕事」

京都で親子三代に渡り「御仏像・京仏具」の製作をしている仏像彫刻師の富田睦海さん。「仏像彫刻師」のお仕事の楽しさや、次世代の技術者に伝えていること、これからのお話などを伺いました。

考えながら掘るのが楽しい

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ーー何を掘っているときが一番楽しいですか?

一点ものを掘るのは楽しいです。数ものを作るときは体が覚えている通りに掘っていきますが、一点ものはやっぱり「これどうしようかな、あれどうしようかな」といろいろ考えながらやるのが楽しいんですよね。でも最近はそういう仕事があんまり無い。一点ものより量産型で、海外でつくられていたり、樹脂や型取りでつくられるものも多いです。表面に漆塗りをした後は、素人の人はほとんどその違いがわからないですが、僕らは見たらもちろんわかりますし、持った重さからわかります。

この道具でどれだけできるかにはチャレンジしてみたい

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ーー京仏具の技術を活かしてアクセサリーも作られていますよね。仏具以外で他にやってみたいことはありますか?

その余裕は無いです(笑)アクセサリーに関しても、例えばシルバーアクセサリーを型を掘ってつくる技術は、アクセサリーの側から見ればランクは下がるんですよ。彫金は量産できないですけど、型を掘ってシルバーアクセサリーをつくる場合は量産できますから。「それだったら彫金をやればいいのに」とよく言われますが、彫金は道具も変わります。それよりは彫刻刀での彫刻というのを極めていきたい。要するに「道具は変えたくない」んです。別の分野ではなくて、この道具でどれだけできるかっていうのにはチャレンジしてみたいです。

職人の道は厳しいけれど「それが現実」ではなく「それがプロ仕事」

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ーーお弟子さんにはどんなことを伝えていますか?

基本うちの弟子には、「うちでやりながら、最終的には自分たちのスタイルを考えるつもりでやらないといけないよ」というのは言ってます。仏具の業界だけでみていると、やっぱり市場は狭まっている分野ですから不安要素も大きいのは間違いないです。でもこの技術をもったら、自分で考えたら他にもできることはあると思うんです。

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ーー習うだけではだめということですね。

夜バイトする子多いんですよ。少ないお給料をコンビニのレジ打ちで補うのは簡単だけど、でもそれはプロではないと思うんです。少ないお給料かもしれないけど、「これが現実」と思うんではなくて、それを増やしていくために技術を磨いたり考えたりしないといけない。「それが現実」とよく言いますが、そうではなくて「それがプロ仕事」だと思うんです。

ネットが普及してつくる側の立場も変わりつつある

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ーーこれから3Dプリンターなんかで仏像が作れたりする時代も来るのでしょうか。

もう来てますよ。国宝級のものを3Dプリンターで再現することもできることはできます。でもそれに関してはものの考え方かなと思います。そうやって量産されるものは工業品、僕らがつくるのは工芸品です。

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ーーなるほど、そこに線引きがありますよね。

時代の話で言えば、10年前と比べてつくる側の立場が強くなりつつあるなというのはめちゃくちゃ感じます。今まではどんなにアピールしたくても誰かの力を借りないと難しかった。でも今は自分たちからアピールできるっていうのはむちゃくちゃ強いです。だから若手職人にもチャンスがあります。その代わり、情報がオープンになっている分、ホンモノの技術かどうかも試されるというのももちろんあります。

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