【京友禅職人のホンネ】海外の職人さんから学べることもきっとある

大学在学中に京友禅の職人になろうと決意し、京都・嵐山の工房で着物を染める京友禅職人 池内真広さん。手描きの技法を軸に染織の美を追求する池内さんに、京友禅職人というお仕事の話や着物選びのお話、この先やってみたいことを伺いました。

手描友禅染の魅力とは

ーー手描友禅染ならではの良さというのはどういったところでしょうか?

自然な感じというか、味のようなものを感じやすいのは手描きの良さのひとつですかね。それから、職人さんの個性が出やすいというのも。同じ柄を染めたとしても、職人さんによって少しずつ雰囲気が変わりますし、やっぱりそういった人間味が出るのが良さですよね。

ルールに縛られすぎると退屈になってしまう

ーー「着物」「伝統工芸」というと、昔からのしきたりやルールのようなものも多かったりするのかなと思うのですが、池内さんはどう感じていますか?

ネガティブな意味でそういうことを言う人も確かにいるんですけど、僕は昔から受け継がれてきた「文化」や「着物」にリスペクトがあるので、それを学びたいという思いが大きかったです。一方でたしかに、細かいことで「あの人の着物の着方はおかしい」などと言う人もいますね。僕は逆に「そういうことばっかり言うからみんな着物を着なくなる」と思う部分もあるんです。「若い人は若い人なりに着物を着たらいいやん」って思ったりとか。

文化や伝統をリスペクトして受け継ぐのも大事ですけど、何のためにあるかわかならないルールみたいなものに縛られすぎると、退屈になってしまうのかなと思います。

書道を始めて心が柔らかくなりました

ーー普段お仕事以外の時間はどんなことをしていますか?

実は最近は書道を始めてみたり、短歌を始めてみたり、日本画なんかもやってみたり(笑)いろいろと勉強になるし面白いんですよ。

例えば書道の行書は、書く人の呼吸とか感性というのを割と素直に出せるので、心が柔らかくなるんですよね。昔は例えば受験勉強とかの癖かもしれないですけ ど「正しく正確に」みたいなものがどこかに残っていて、頭が固くなってしまっていたんですけど、でも書道を始めてからそういうのがなくなってきたりしまし た。

どうしてイタリアの小さな工房の職人さんがあれだけすごいのか

ーーこれから先つくりたいものとかありますか?

外国の職人となにか一緒にやってみたいなというのはあります。ヨーロッパには、プリントはあっても、友禅みたいな模様染めって無いんですよ。展示会で持っていくことはできますが、それだと見せて帰ってくるだけになってしまうので、ヨーロッパの人たちの生活と接点のあるところで、なにか友禅を使ったものをつくってみたいなと思います。

ーー外国の職人さんですか!

あと海外の話でいうと、日本の職人が海外の職人から学ばせてもらうことも多いと思うんです。なんでイタリアの職人が小さな工房であれだけ高級なブランドをつくって生き残っていけるのかとか、そういうことも僕らはもっと学べたらいいのかなと思いますね。

着物選びのコツ

ーー話が変わるんですが、最後に着物選びのコツがあれば教えてほしいです。

やっぱり一番いいのは、感覚のいい人に選んでもらうことだと思います。つくる職人もそうですし、アドバイザーの人とかにお願いするのがいいと思います。着物は全身で着るものなので洋服とはまた違いますし。自分だけの感覚で選ぶのは難しいですよね。

 

[文:今井建吾]