9月24日(土)、京都デニムは同志社女子大学の学生さんたちと『友禅染めでデニムのマイカードケース作り体験』を行いました。
今回の『友禅染め体験』を通して、現代の若い方たちにも伝統工芸をもっと身近に感じていただきたいという思いで、この産学連携に取り組みました。職人の技術継承や後継者不足といった今の伝統工芸界がもつ問題を解決する第一歩と考えます。
京小紋の手捺染工場
今回ワークショップが行われたのは、京都デニムのジーンズの染色も行っている、壬生寺近くの手捺染工場です。普段は着物の柄などの染色を行うため、13mもの作業台を使用しています。
職人さんが友禅染めを直接レクチャー
(左:竹さん、真中:宮田さん、左:茂木さん)
今回、友禅染め体験のレクチャーをしていただいたのは、京都デニムのジーンズの染めにも携わる3人の職人さんです。
デニム生地の藍色を抜く、『抜染』を見せていただきました
この道60年の職人、竹さんに『抜染』を見せていただきました。ロープ染色(※)によってインディゴ色に染まった糸と、白糸から織られたデニム生地。このインディゴ色の成分を『抜染』という技術で柄状に抜いていきます。
この職人技に、先生も生徒さんも思わず前のめり。その横では抜染を撮影する方も。間近で見る抜染の光景に、みなさん興味津々の様子でした。
(※ロープ染料・・・ デニム生地に使用する糸の一般的な染色方法。)
抜染した生地はこうなります!
抜染で型に置いた糊の部分は、インディゴの色が抜けて柄になります。糊を置いた直後は半透明ですが、時間が経つと、白く浮かび上がってくるように模様となるのです。
さて、早速 友禅染めに挑戦です
今回のイベントでは既に抜染の行程を終えた生地のカードケースを使用しました。色が抜けた柄の部分に『友禅染め』で色を挿していきます。
『 ・ ・ ・ ・ 。 』
学生さんたちは、マイカードケースづくりに一点集中です。工場には物音さえ聞こえない時間が何度も流れていました。
『ピンク色が作れない。』『綺麗な色にならない。』
作業を続けていく中で、『思うようにうまくできない』という声も多くありましたが、職人さんのアドバイスやお手本を参考にしながらカードケースづくりに励みます。
水分量や色の挿し方など、それぞれに試行錯誤。
友達同士で話し合いながら、水分量を調整してみたり、グラデーションに染めてみるなど、皆さん思い思いに試行錯誤しながら作業されていました。色挿しの難しさを実感されていた方も。
それぞれのパレットにも個性があらわれています
染料を混ぜ合わせて新しい色を作ってみたり、生地の上で色を重ねてみたり、シンプルに一色使いで染めてみたり。パレットの上はそれぞれのカラーや個性があらわれていて、非常におもしろいです。
『前回うまくできても、今回うまくできるとは限らない。』
この道48年の職人、宮田さんは『染色は、前回うまくできたことでも、今回も同じようにうまくいくとは限らない。染料、抜染糊などの材料や、生地の素材、気温や湿度によって、染め方を変えていかないといけないんです。』と話されました。
『本当に初めてですか?』職人さんも絶賛の筆使い
みなさん友禅染めは初めての体験だそうですが、迷うことなく色を挿していきます。繊細な筆使いに職人さんも大絶賛でした。『大胆かつ繊細』とはこのことですね。
マイカードケース完成!
みなさんそれぞれに工夫を凝らして、『世界にひとつのマイカードケース』を作り上げました。
並べて見てみると、より一層それぞれの個性が際立って素敵ですね。
完成したマイカードケース撮影会!
完成したマイカードケースを個々に撮影しながら、『SNSにアップしよ!』『私もうアップした!』などと楽しそうに会話されていました。
あとは仕上がりを待つのみ
色を挿したカードケースは、後ほど職人さんが色止めの作業を行い、参加していただいた学生のみなさんのお手元に届きます。色止めの工程を行うと、無駄な染料が落ちてより一層鮮やかな色に仕上がるそうです。仕上がりが楽しみですね。
まとめ
今回すべて手作業でマイカードづくりを体験していただきました。『世界にひとつだけ』、『非常に繊細な作業』、『それぞれに個性があらわれる』といった点で、手作業で作られたものがいかにあたたかく、特別であるということを感じました。
学生のみなさんにも今回の体験を通して、『ものづくり』や『伝統工芸』を少しでも身近に感じてくだされば、嬉しく思います。