滲みを活かして染める 

滲みで染めるTシャツ

染料は乾いた布に滲みます。今回はその特性を活かして染めていきます。滲むことで色がさらに鮮やかさを増して魅力的になる、その工程をご紹介させていただきます。

型紙を彫る

撥水性のある紙に下書きをし、それをカッターで切り抜いていきます。コーティングが施されているため、普通の紙よりは少し硬いです。昔は紙に柿渋を塗って撥水性を高めていたらしいです。今回型紙に使っている紙はそれが由来で「柿渋紙」と呼ばれています。

染料を糊と混ぜる

染料をそのまま置くと、繊維を伝ってしまいます。そうなってしまうと型紙通りの形になりません。そのため、糊に染料をまぜて少し硬くして使用します。

型を置いて染料を置いていく

型の淵になる部分には硬めの糊を置きます。糊が硬いと繊維を伝って滲むことが少なくなるので形を決める部分には硬めの糊を置いていきます。内側の部分には糊をほとんど混ぜていない染料を使います。少し垂らしてみたり、筆でランダムにちょんちょんと置いてみたりします。

染料を滲ませる

垂らしたり筆で置いた染料の上から水を吹きかけます。そうすることで染料がより繊維に滲んだり色が混ざったりします。滲ませた上からさらに染料を垂らしてみたり。同系色でない色をさしたらまた印象がガラリと変わります。混ざって滲むので色と色の重なりができて使った染料の色以外の色も出てきます。

型を外して乾かした後、色止めをする。

色を置いてそのままだと水で流れてしまいます。今回はアルカリ性の液体を上から塗ることで色を定着させます。この工程は色が流れるのを止めるので色止めと呼ばれます。

もう一度乾かした後洗っていく

水を流しながら洗っていきます。ブラシで繊維の方向に沿って優しく洗います。色止め後もこの段階では少し色が出るので白い所に色が付着しないよう注意を払って作業します。ブラシで洗って色が出なくなったら、次の工程の時に色が付かないようにするために少しだけ水をため、酢酸を入れて手で優しく洗います。水の中で洗っていると、本当に泳ぎだしそうです。

酢酸に浸ける

酢酸に浸けてアルカリを中和します。染料が浮いてきてはいけないので、染料を置いた方を下に向けておきます。

再度、洗う。

今度は酢酸を落とすために洗います。その後洗剤で軽く洗い、柔軟剤を入れてまた洗います。染め物をする時は各工程と洗うことがだいたいセットになっています。「立つ鳥後を濁さず」という言葉がありますが、工程が終わった時に後を濁さないことで丁寧な仕事ができると思います。鳥も私も同じですね。

完成!

滲みで染めるTシャツ

洗ったら脱水にかけて完成です!乾くことでより色が淡く、優しくなりました。晴れた日の空のような、満天の星空のような、宵の川と蛍のような。イメージは手に取る人によって変わるかと思いますが、そこが魅力の素敵なTシャツになりました。

まとめ

ひとつの技法の中で糊の硬さを変えていくことだったり、染料の滲み具合を見てその場でその後のデザインをどうするか決めるなど臨機応変に考えることの多い技法でした。状況をよく見て次の一手を考えるのは難しくもあり楽しくもあり。私は染織のその半突発的な事象がとても素敵だと思います。計画を立てたうえでの美しさと計画から少し外れた時の美しさが共存する染めができていたら良いなと思います。