前回の記事で紹介した革靴三足の修理が終わったとの連絡があったので、受け取ってきました。マニアックな内容かもしれません。少々長くなりますがお付き合いください。
早速、京都革靴修理Take Shoeにお願いしていた3足の革靴の修理部分を見ていきましょう。
目次
CROCKET&JONESのローファー
つま先にスチールがついて雰囲気が変わりましたね。雰囲気だけでなく、スチールの取り付けによりしっかり補強がされました。
つま先、トップリフトをアップで。ネジでしっかり止めてあるので、外れる心配はありません。
トップリフトも元々の作りを再現。特にお願いはしていなかったのですが、革の部分は、ソールの色と近い色にしてくださいました。
REGAL East Coast Collection
こちらもスチールによる補強。かなり削れていたつま先もしっかり補修されています。
こちらもソールに近い色に。
この靴は元から化粧釘が多く打たれている靴だったため、釘の打ち方も同じようにしていただきました。
BUTTEROのレースアップブーツ
釘が奥までしっかり打ち込まれています。こちらもソールに近い色に染めていただき、元の形の再現。
三足ともトップリフトの革部分は染められていましたが、本来はこのような色です。
次にそれぞれの修理の注目ポイントを。
横から見ても異質なものがついたというようには見えません。これは削れた部分を平面に戻した後に、スチールの厚みの分だけ革を削っているためです。
補強はしたいけど、靴の雰囲気を壊したくないという方も安心です。
隙間がないように取り付けられています。
修理したヒール部分の側面です。修理前は荒れていましたが、トップリフト交換後、綺麗に仕上げられています。修理後の仕上げまで綺麗にされていました。
次は普段見ることのない修理中の写真を。
トップリフトをベリっと。
つま先の補修はこのような状態から、
徐々に形を整えていきます。
そして、スチールの取り付け。
ネジをしっかり閉めます。
こちらはヒールに釘を打っているところ。釘が数ミリ残して止まっていますが、この後釘の先端部分をカットして残った部分を削って仕上げるそうです。真鍮製の釘のため削りやすいとのこと。真鍮製の理由は、歩行と同時に釘も削れるようにするためです。そのことによって滑りやすさが鉄製のものなどと比べるとはるかに違うそうです。
実際に使用されている釘です。
このような過程を経て、愛用の革靴をまた履き続けることができます。過程を見ていくと履く人を意識しての修理が伝わってきますね。
今回修理をお願いした山本さんにTakeShoeの理念を聞くと、
“元の状態以上に綺麗に仕上げること”
“修理を断らないこと”
とおっしゃっていました。
実は今回修理には出さなかったのですが、もう一足修理をするならどのように修理するか相談した靴があります。
この靴は、ヴィンテージシューズで半世紀以上前に作られた靴です。
見てわかるように…
ボロボロです。
デザインが珍しいので気に入っているのですが、壊れるのが怖くて登板回数は少なめです。修理はできないかなと思っていたのですが、このような靴でも修理は断らないそうです。
提案いただいた修理方法は、一回靴をバラして、ダメージのあるパーツを取り除くこと。その後、使われている革に近い革を使って再度パーツを作り、木型に合わせて組み直すという方法です。
※木型・・・ラストとも呼ばれる。靴を製造する上で、足の代用となる型のことで靴の履き心地を決める重要なもの。以前は木で作られていましたが、最近ではプラスチック製の物が主流を占めています。
もはや修理というよりカスタムですね。もし、直せないだろうと諦めていた靴があれば相談してみてはいかがでしょうか。
修理して履くということ(まとめ)
私達が扱っているデニムにしても、今回の靴にしても、経年変化し、自分の足や体に合わせて、またライフスタイルに合わせてより自分らしいものに育っていくものです。
どのような状況で使うかは人ぞれぞれですが、自分だけの時間、また他人との時間を刻んでくれるこうしたアイテムは愛着が湧きますよね。
使い捨てではなく、自分の時間を刻んでくれるものを直しながら履く、そしてそのような物を選ぶ。
今回修理を依頼したTakeShoeはそういった気持ちを大きくしてくれるようなお店でした。最後はしっかり磨いた三足で終わりたいと思います。
長くなりましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございます。
[文:中島]京都革靴修理 Take Shoe
住所:〒604-8135 京都市中京区東洞院六角上ル三文字町219番地 六角ハイツ1階
電話番号: 075-211-7925
営業時間:11:00〜20:00
定休日:お盆・お正月