坐禅をすることで、本来の自分自身と向き合い、心の邪念が払われるというのは本当なのでしょうか。
京都市左京区にある『詩仙堂 丈山寺』にご協力いただき、取材をさせていただきました。詩仙堂では、通常 坐禅体験は行われていないのですが、今回特別に坐禅の体験もさせていただくことになりました。
本当に邪念が払われるのか、宝くじを使って検証してみます。
先日購入した宝くじ。『当選してお金持ちになりたい!』という邪念は、坐禅体験によって消えるのでしょうか?
坐禅とは?
坐禅とは、座って姿勢を正した状態で精神統一を行う、修行法です。
姿勢、呼吸、心をととのえ、ひたすら無になり、集中力を養います。
今回体験させていただくのは、『詩仙堂 丈山寺』の坐禅体験。
詩仙堂は京都市左京区にある、江戸時代初期の文人、石川丈山の山荘跡です。現在は曹洞宗の寺院でもあり、丈山寺といいます。空気が澄んでいて、とても静かな空間です。
京都の観光名所としても有名な『詩仙堂』
(書院から見る風景)
一乗寺周辺で最も有名な詩仙堂は、観光名所としても人気のスポットです。色づき始めた紅葉が、秋の訪れを感じさせます。
響き渡る『ししおどし』の音色を聞きながら眺める庭園は、風情があり非常に美しく、何時間でも眺めていたくなります。
副住職に坐禅体験のレクチャーをしていただきます。
今回、副住職の石川様に坐禅の作法・施行などを教えていただきました。
坐禅は臨済宗・曹洞宗・黄檗宗の修行のひとつです。
今回坐禅体験させていただく詩仙堂は、『曹洞宗』の寺院であるため、その作法・思考に基づいてレクチャーしていただきました。
足の組み方が難しい・・!『結跏趺坐(けっかふざ)』
右足を左ももの上にのせ、左足を右ももの上にのせる足の組み方を『結跏趺坐(けっかふざ)』といいます。これが基本の足の組み方です。
結跏趺坐(けっかふざ)ができない場合には、左足を右ももの上にのせる、『半結跏趺坐(はんかふざ)』でも構わないそうです。
手の組み方で、心の精神状態があらわれる?
右手の親指と左手の親指が軽くふれる程度にくっつけ、きれいな卵型をつくります。この組み方を『法界定印(ほっかいじょういん)』といいます。この時、余計な力が入ってしまったり、眠気で力が緩んでしまったり、その人の坐禅中の心があわられるといいます。
始めての坐禅体験、ドキドキです。
坐禅は始まる合図として、鐘が三回鳴り響きます(止静鐘)。
さて、30分間の坐禅が始まりました。
曹洞宗の坐禅は、壁側を向いて座禅を組みます。これは『面壁座禅(めんぺきざぜん)』という組み方。目線はななめ下45度を見つめるイメージです。ちなみに足の組み方は、初心者向けの『半結跏趺坐(はんかふざ)』で挑戦しました。
坐禅が始まってすぐは、なかなか気持ちが落ち着きません。
始めての坐禅に緊張してしまい、心も呼吸も姿勢も落ち着きません。
(お腹減ったなぁ・・。)
(足が痛いなぁ・・。)
(何分たったかなぁ・・。)
『 ・ ・ ・ 。』
あまりの静けさに、思わず目を閉じてしまいました。
集中力が欠けてくると、睡魔に襲われ、自然に目を閉じてしまいます。何度も何度も睡魔がやってきます。
パシーン!!!
坐禅中に眠くなったり、心が落ち着かない時は、(※)警策(きょうさく)で肩を打っていただきます。
警策を自ら求める場合は、坐ったまま合掌をし、その意をあらわします。
そして、首を左前に傾けます。そうすると、気持ちいい程の音で、警策を打ってくださいます。
※警策・・・坐禅中、修行者の肩または背中を打つための木製の棒
呼吸を整えると、だんだんと心が落ち着いていきます。
警策を打っていただいた後は、自然と呼吸が落ち着いていきました。ゆっくりと大きく、鼻から吸って、鼻からはきます。その時、呼吸をすることだけに集中します。
そうすると、リラックスしながらも体の中にある1本の細い糸がピンと張っているような感覚になります。
鐘が1回鳴り響くと、坐禅終了です。
坐禅は終了する合図として、鐘が1回鳴り響きます(放禅鐘)。鐘が鳴り終わると、合掌し、低頭します。固まった体をほぐすために、振りこのように体を揺らします(左右揺振)。
※今回は体験のため30分の坐禅でしたが、本来の坐禅は線香の煙が途絶えるまで(約40分)を1回としています。
足がしびれて立てない!
驚くほどに足がしびれ、立ち上がることができません。始めて坐禅体験をされる方は、自分が楽にできる、無理のない足の組み方で組むのが一番だそうです。
曹洞宗の坐禅は、『ひたすらに無になること』
曹洞宗の坐禅で一番重要なことは、『何も考えないこと』です。
何かを形にして達成するものではなく、自分自信の集中力を高め、心の中で達成を得るという考えだそうです。
『坐禅は、続けることで効果があらわれます。』
約2年間、修行道場で坐禅をされていた副住職の石川様。これほど長く坐禅をされていても『無になる』ことは難しいことだと話されます。坐禅は1度で効果があらわれるものではなく、日々少しずつ続けていくことで、限りなく無に近づくことができるのだそうです。
心の邪念を払うことが目的ではない。
曹洞宗の坐禅は、心の邪念を払うことが目的ではなく、座禅そのものが目的です。ただひたすらに無になり、集中力を養うことで自分自信を高めていくのです。
まとめ
曹洞宗の坐禅は『何も考えない』ことが一番重要であるため、坐禅を組んでも『宝くじを当選させて、お金持ちになりたい』という心の邪念が消えることはありませんでした。しかし、坐禅を日々続けることで、邪念の心も消えていくほどの集中力を養うことができるのかもしれません。
[文:中原]
坐禅をもっと身近に。『坐禅かふぇ』
(出典:◆京都曹洞宗青年会 坐禅かふぇ)
坐禅=『敷居が高く厳しい修行』というイメージがあり、坐禅に興味があっても、なかなか挑戦できないという方におすすめの坐禅かふぇ。
坐禅かふぇとは?
◆京都曹洞宗青年会 坐禅かふぇ)
京都曹洞宗青年会が企画されている、坐禅・茶話を体験できるイベントです。年に5回、京都のお寺などで開催されます。
坐禅をもっと身近に、親しんでいただくために企画されたイベントなので、始めて坐禅に挑戦される方でも、気軽に参加することができます。京都曹洞宗青年会のブログにて坐禅かふぇの詳細を記載しております。ご興味のある方は、ぜひご覧ください。
※詩仙堂は、通常 坐禅体験は行われておりません。今回の取材内容は特別にお願いして坐禅体験をさせていただいた内容です。