京小紋染めのデニム生地ができるまで(抜染・蒸し・水元)

柄の入ったデニム生地は、プリントや刺繍ではありません。着物の染め職人がすべて手作業で染めています。着物を丁寧に扱うように、デニム生地も同じように慎重に、一枚一枚 染色していきます。

デニム生地の染色は実際に着物を染める京都の工場で行います。

デニム生地の藍色を抜く“抜染”

抜染作業工程1

抜染とは、ロープ染色によって染まっているデニム生地の藍色を、柄状にぬいていく作業です。着物の柄を染める時も、この抜染という技法を用います。

着物の抜染を行うときにも使用される型の数々です。同じ技法でも素材が異なるため、デニム生地用に型から製作しています。
抜染作業工程2
並べられたデニム生地に柄の型を置き、その上から糊を置いていきます。
抜染作業工程3
スッと上から下に。沈黙の中、一枚一枚 集中しながら抜染します。一瞬の作業のように見えますが、力加減が非常に難しく、左右上下に均等に糊を置かないと、一部だけ薄く色が抜けたり濃く抜けたりというムラがでてしまいます。
抜染作業工程4
糊を置いた柄の部分は、少しずつ色が抜けていきます。

デニム生地を蒸す作業

抜染作業工程5
抜染したデニム生地に新聞紙を巻いて釜で蒸していきます。

高温の蒸気で蒸し、生地の糸の芯まで糊を浸透させます。

なぜ蒸すのか?

糊が浸透することで、柄が綺麗に白く抜けます。とても手間と時間のかかる作業ですが、この作業を疎かにすると ムラがでてしまい 美しい柄は表現できません。

一度に蒸すことができるデニム生地は5枚。生地1枚でジーンズ約1本分です。

何度もこの作業を繰り返します。

糊が完全に落ちるまで、生地を洗い、乾燥させます。

このような工程を経て、京都デニムの抜染生地が完成します。ここまで綺麗に色が抜けるようになるまで、繊維や生地、染色の研究・試作・実験の毎日でした。
抜染作業工程6
着物からデニムに素材が変わっても、京小紋の技術は卓越した職人の手仕事です。この美しい技をもっと広く、もっと深く知ってもらうために、私たちは現代にあった素材でものづくりを続けています。