着物文化の新しい継承の形としてスタートした「京都デニムスクール(通称:デニスク)」では、社会人4名が制作チームとして集まり、週に1回着物の伝統的な染色技法を学んでいます。そして、半年間かけて習得した技術を使って、より多くの方に着物文化を伝える展示会「京都デニム継承展」を2023年5月5日(土)、6日(日)に渉成園にて行います。
今回はデニスクに参加する制作チームの社会人4名に、インタビューを行いました。
四人目はフリーランスデザイナーとして活動されている森下愛さんです。京都デニム継承展にかける想いやデニスクに参加してみての心境などを伺いました。
【profile】
森下愛
職業:フリーランスデザイナー
フリーランスデザイナーとして仕事をしながら、オリジナルのアップサイクルブランドを企画中。
お名前とご職業を教えてください。
森下愛です。現在は、フリーランスのデザイナーとして働いています。元々は服飾系の専門学校を卒業して、その後にバックメーカーに就職しました。そこで6年間、カバンのデザインや服飾雑貨のデザインに携わった後に、カナダで留学をして、2022年からフリーランスで仕事するようになりました。
京都デニムを知ったきっかけを教えてください。
たまたまInstagram見ていると、京都デニムさんの『社会人インターン募集』の記事が入った事がきっかけです。京都デニムさんの投稿を見た時に「お気に入りのデニムに有禅染めにする」や「古いデニムを回収して新しい製品にする」といった内容に共感して、なにか勉強できることがあれば良いなと思い参加をしました。
前職ではバックメーカーで勤めた時に、大量に作って、大量に販売する。使えない部分があると破棄するという流れの中で、デザインする事は楽しいんですけれど、ゴミを作っているような感覚が強くなり、それに力を貸していることが嫌になりました。
そうではなく『デザイナーとしてできる環境に良いことをしたいな』と思うようになり、
いらなくなったものを、新しいものに変えるデザインだとか、今あるものをもっと素敵なものに変えるデザイナーになりたいと思っていたので、興味がありました。
元々伝統工芸に興味があったのですか?
デニスクに入る前は、正直そのサステナブルな部分に興味があって入ったので、失礼ですけど、伝統工芸に、本当に興味がありませんでした。
でも、伝統工芸の話や友禅止めの話を聞いている中で「なくなっていくのは悲しい」「大切なもの」だと思ったので、それを継承するお手伝いがをしたいなと思いようになりました。
あと、デザインの面で言うと、自然なものからインスペーション受ける「自然友禅」を始めてから、普段外を歩いている中でも「ひらりと落ちてくる葉っぱの色を友禅で表現できるかな」というようにデザインを通じて日常を注視するようになりました。
作業中に大切にされていることを教えてください
1番大切にしているのは、「まずはミスをしない」ことです。
例えば、有禅の最初に抜染という、生地から色を抜く作業があるのですが、
その時にちょっとでも抜染液が他の部分に飛んでしまうと、その生地が使えなくなります。やっぱり製品を無駄にはしたくないので、気を抜かないようにしています。
また、一緒に参加しているメンバーとのコミュニケーションも大事にしていています。
連携して作業することはもちろんですが、桑山さんがふとした時に話される技術に関する話なども貴重なので、できるだけ聞きたいと思っています。
デニスクに参加して変化した価値観や考えはありますか
桑山さんは、日常の中でも「今回は何分でやってみよう」や「質温をこうしてみよう」など、実験的なことをされています。10年も続けているのに、今でも実験の中から新しいコラボレーションが生まれる所を間近で見ていると、いつまでもチャレンジすることが大事だと思うようになりました。
今までは、先に考えて、「無理かもしれない」と諦めてしまったのですが、今はとりあえずチャレンジしようと思うようになりました。
5月5日、6日の継承展にかける思いや見どころについて聞かせください。
個性的なメンバーが集まっているので、その人たちが「それぞれに作る京都デニム」は今までの京都デニム知っている方からしても、知らない方からしても新しいと思います。
私自身も何が作られるのか楽しみです。
こっちが何かを伝えたいというよりかは、みんなが何かを感じ取ってもらえるような作品作りをできたらいいなと思っています。
正直、捉え方って見る方によって全然違うと思うので、みんなでも『何をどう伝えたらいいのか』は悩んではいます。でも『感じ取ってもらえる何か』は、悩むからこそ生まれると思うので考えて製作していきたいと思っています。
ありがとうございました。
森下さんの活動は以下のリンクからご覧いただけます。
Instagramクラウドファンディング実施中!
「京都デニムスクール」に参加する4名の社会人が、京都の渉成園でデニム生地を使って着物の伝統的な技法や文化を広めていくための展示会「京都デニム継承展」を行います。当イベントを開催するためにクラウドファンディングでご支援を募っております。
詳細はこちら
「京都デニム継承展」イベント詳細
日時:2023年5月5日(金)10:00〜16:00、6日(土)9:00〜15:00(予定)
場所:渉成園
住所:〒600-8190 京都府京都市下京区下珠数屋町通間之町東入東玉水町
アクセス:JR京都駅から徒歩10分
※渉成園の開閉門時間:9:00~17:00(受付16:30まで)