【インタビュー】京都デニム継承展に向けて(安田 伸裕)

着物文化の新しい継承の形としてスタートした「京都デニムスクール(通称:デニスク)」では、社会人4名が制作チームとして集まり、週に1回着物の伝統的な染色技法を学んでいます。そして、半年間かけて習得した技術を使って、より多くの方に着物文化を伝える展示会「京都デニム継承展」を2023年5月5日(土)、6日(日)に渉成園にて行います。

今回はデニスクに参加する制作チームの社会人4名に、インタビューを行いました。
二人目は義肢装具士として活動されている安田伸裕さんです。京都デニム継承展にかける想いやデニスクに参加してみての心境などを伺いました。

【profile】
安田 伸裕
職業:義肢装具士
義肢装具士として必要な方に義足/装具を製作。現在「義肢装具×デザイン」の普及を目指して、伝統工芸やアートとコラボなど活動中。

 

お名前とご職業を教えてください。

京都デニム社会人インターン生の安田伸裕です。普段は義肢装具士として働いていています。義肢装具士とは、病気やけがで手足を失ったり、不自由になったりした方々に義肢(義足・義手)や装具(サポーター)を製作するお仕事です。

 

京都デニムを知ったきっかけを教えてください。

義肢装具士として一人一人に合わせたモノづくりをしていく中で、機能性に対するアプローチは多岐にわたりますが、装飾性に対するアプローチが不足している現状をどうにか出来ないかという課題がありました。 ユーザーが快適に毎日の生活を送れるように機能性、実用性を追求する日々の中で、「デザインに限りがある義肢の選択肢を増やしてユーザーにもっと満足してもらいたい」と考えていました。

実際にその課題に対しては2年前からテキスタイルを中心に私自身取り組んでいました。

テキスタイルには様々な技法があって、多種多様な風合いや模様、色が生まれるテキスタイルの魅力を自身のモノづくりに表現出来れば、義肢装具を必要とされるユーザーの方にもっと満足していただけるのではないかと思います。

その取り組みの中で、京都デニムさんに出会い、桑山さんや宮本さんにお話を伺い、京都デニムで行われているモノづくりが、自身のモノづくりに合わさる事をイメージした際に凄くワクワクしたのが理由です。

 

参加してみて何か変化はありましたか?

活動が始まって約7ヶ月。デニスクでの活動が生活サイクルの軸になっています。既成概念にとらわれず、常に新しい考えでモノづくりに取り組む京都デニムの桑山さんや宮本さんをはじめ、さまざまなバックボーンを持つ同じインターンの仲間たちとの交流が、普段の職場関係では気づくことのできないような視点や新鮮な気持ちを与えてくれます。

(抜染を実践する授業での一コマ)

同じモノづくりに携わる人として、桑山さんの職人としてのやり方や立ち振る舞いから学ぶことは多く、技法を身につけていく中で感じる事も多くあります。普段はユニークでいつも笑顔な桑山さんだけど、作業に入ると、目つきや指示がピシッとされるんですよね。そのメリハリがちょうどよくって、モノづくりの姿勢のみならず、人として学ぶことも多いです。

京都デニムでの活動の中で、友禅や生地など“色”に触れる機会が多くなりました。“かたち”に注目することが多かったこれまでの自分から、モノづくりをする上でのアンテナが広がったように感じます。ついつい色に目が行っちゃうようになりました。

 

5月5日、6日の京都デニム継承展にかける思いや見どころについて教えてください

インターン生全員がみんなそれぞれ異なるバックボーンを持っていて、キャラもバラバラ。普段の活動の中でもインスピレーションを受けるものやデザイン感覚もみんな違うので、バラエティ豊かな展示になる気がします!

インターンの参加動機でもある、京都デニムで学んだモノづくりと自分の仕事の義肢を掛け合わせたようなものを展示したいと考えています。また、自分自身の趣味でもあるアウトドアと学んだことを掛け合わせて、日常に寄り添うような作品の展示もしてみたいかもと思っています。

 

デニスクでの活動を通して、触れてきた伝統工芸について教えてください

伝統工芸っていうと、出来上がった“モノ”だけを見る機会が多かったり、出来上がった“モノ”で評価されたりすることが多いと思うんですよね。だけど、実際に京都デニムのインターンに参加して、伝統工芸を生み出している作り手さんを知り、その人と触れ合い、その人がモノを作り出していく過程を間近で感じたことで、こんなに面白い人たちが伝統工芸に携わっているんだなと感じました。それに、出来上がっていく過程にはモノだけを見ていても想像できない工程と、計り知れない細かな技術が詰まっている事を発見出来ました。

 

継承展を通して皆さんに伝えたいことは何ですか?

きっと伝統工芸のまちといわれる京都には、まだまだ面白い伝統工芸の作り手さんと、面白い過程があるはず。そんなことを私たちの継承展を通じて少しでも感じ取ってもらえたり、興味を持ってもらえたりするようなきっかけになれば嬉しいです。

 

ありがとうございました。

安田さんの活動は以下のリンクからご覧いただけます。

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クラウドファンディング実施中!

「京都デニムスクール」に参加する4名の社会人が、京都の渉成園でデニム生地を使って着物の伝統的な技法や文化を広めていくための展示会「京都デニム継承展」を行います。当イベントを開催するためにクラウドファンディングでご支援を募っております。

詳細はこちら

 


「京都デニム継承展」イベント詳細

日時:2023年5月5日(金)10:00〜16:00、6日(土)9:00〜15:00(予定)
場所:渉成園
住所:〒600-8190 京都府京都市下京区下珠数屋町通間之町東入東玉水町
アクセス:JR京都駅から徒歩10分

※渉成園の開閉門時間:9:00~17:00(受付16:30まで)