きどさん

プロフィール
城戸和美
愛媛県出身。
大学時代のフィリピン留学で環境問題に関心が生まれる。
卒業後、エネルギー商社に勤め、2015年-2017年JICA海外協力隊でフィジーに赴任。
帰国後は、北海道十勝地方で産業廃棄物のリサイクル業者に就職するが、寒すぎて妊娠を機に神戸に移り住む。
現在はフィジーで出会った夫とシェアハウス“住みびらきのお家ケレケレ”を神戸で運営している。
 
参加した理由
私がデニムスクールに参加した理由は「伝統工芸は地球を救う!」と思ったからです。
ウルトラマンのように大袈裟に聞こえるかもしれませんが、本気です!
 
というのも、私は小さい頃から環境問題と伝統文化の担い手不足という、一見すると全く関連性のない2つの社会課題に対し「なんとかしたい…」と漠然と思っていました。
 
前職では産業廃棄物のリサイクル会社に勤め、環境問題にビジネスという方法で行動しましたが、リサイクルという考えに限界があることを感じ、“大量生産・大量消費・大量廃棄”が環境問題に大きな影響を及ぼしていることに気づきます。
 
その時に、伝統的な製法で食用油を作っている友人に出会います。彼女と話をしていると、「伝統的な油の作り方は時間をかけてゆっくり作り上げるため、大量に販売することはできない。だけど、例えば、ごま油はごまのニオイと味を油から感じられ、時間をかけて作っている分、本当においしい。」という話を聞き、以前から興味があった伝統工芸に結びつくようになりました。
 
油は工芸品ではないかもしれませんが、作り手の想いが1つ1つこめられ、大量に生産できないという点では、伝統工芸品に通じる。
徐々に、今まで置き去りになっていた伝統工芸が環境問題と結びつくようになりました。
でも、どうすればいいのか?と悶々としていたところ、京都デニムの存在を見つけ、現在はスクール生として関わらせてもらっています。
 
社会が安価なものを求めるのではなく、品質に目を向け、作り手に目を向けて買い物をするようになれば、大量生産・大量消費がなくなり、ひいては大量廃棄もなくなる。
まだ私がどのように伝統工芸に携わっていくかは模索中ですが私は伝統工芸を通して環境問題や日本文化の継承に関わっていきたいと思っています。

デニスクに出会って変わった自分
 
タイトル
あなたも職人になれる!
〜伝統工芸のシンプルで奥深い世界〜
 
私がデニスクで大きく変化したことは、工芸品のイメージです。
以前までは、工芸品は「とっつきにくい」「職人技だから一般の人とは別の世界」という印象でしたし、そもそも深く考えることすらありませんでした。
 
しかし、我らが師匠の桑山さんから
「工芸品は継いでいくものだからね。アートのようにその人にしか出来ない技は求められていない。“誰でもできる“が大切なんです。」
と言われ、工芸品に対する私の価値観にちょっとヒビが入ります。
でも、疑い深い私は「そんなの京染だけじゃないの?」と思っていました(笑)
が、全く違う伝統産業に関わる方も
「誰でもできる。むしろ、誰でもできないといけない。」
という話をしていて、工芸品の私のイメージは180度変わりました。
シンプルな工程は多くの伝統産業や文化に共通しているということ、また、それらは非デジタル時代でも次世代へ技術を繋ぐ知恵だというおもしろさも感じました。
 
ここまで、伝統工芸の作業一つ一つがシンプルだとお伝えしましたが、デニスクを通して「職人技」のすごさにも圧倒されます。
例えば、自然に合わせて仕事を変化させていくことです。
デニムの色を抜く“抜染(ばっせん)”の工程は、のり付け、混ぜる、置く、洗う、のような単純作業ですが、気温や湿度により色の抜け具合が大きく変わるため、湿度計を確認し、天気を考え、これに加えて、デニム生地や素材を見つつ抜染します。単純な作業ではあるけれど機械では真似できない、ものづくりの深さを感じます。
1年を通してやっと季節に応じた技術を一通り学び、また1年を通して練習と失敗を繰り返して技術を習得する職人の根気強くものづくりと向き合う姿勢にかっこよさを感じます。
 
とはいえ、根本的な考えは“誰でもできる“作業の工芸品。
本来は身近な存在であった物がいつの間にか、高価で手が届かないものとなってきています。小さな私の力ですがここでの私の変化や学んだことを、いろんな人に伝えて、私の周りの人が日本の伝統文化や工芸品をちょっとでも身近に感じてもらいたいと思っています。